自分は音楽を本当に好きだとは言い切れない部分があります。
それは、音楽という世界があまりにも広く深く、終わりのないものだと理解しているからです。
全てのジャンルを網羅できるわけでもないし、全てを愛せるわけでもない。
だからこそ、どこまで探していけるかという「宝探し」のような感覚で、
自分にとっての「好き」を掘り起こしていく作業だと思っています。
誰かが勧めてくれても、合わなければそれはそれでいいし、インディーズだろうが解散済みだろうが、
時代から取り残されたような存在であっても、響くものは響く。
自分にとって良いものに出会えれば、それが正解なんだと思っています。
だから、古参であることが偉いとも思わないし、先見性があるとか、レアなアーティストを知っているから
すごいとも思いません。音楽を「ステータス」として聴いているわけではないし、
「他人より先に好きになっていたい」みたいな承認欲求で聴くものでもないはずです。
特定のアーティストを聴くことを「ダサい」と切って捨て、
自分の聴いているものを相対的に高尚なものと位置づけるような人も、正直苦手です。
そういう人たちを見ると、「ああ、この人は音楽を本質的に聴いていないんだな」と感じてしまう。
結局、自分が救われた曲や、ただ「美しい」と感じた作品は、
どんな背景があろうと美しいままであるべきです。
アーティストに不祥事があったとしても、それと作品の美しさは別の話。
そこに私情や憎悪を含めて価値を歪めることは、自分の中では違和感があります。
コレに対して言い返しても不毛な争いになるだけだし、
そういう言動の中にこそ、その人の人間性、音楽との向き合い方が見えるものです。
僕にとって音楽は、ステータスやファッションじゃない。
ただ静かに、自分の中で光るものを探し続ける営みです。
誰かにとってそれが「本当に好きじゃない」ように見えても、それはそれで構わない。
僕は、今日もまた宝探しの続きをしているだけなのです。